実にショッキングな結果が出ました。現代ビジネスに掲載された、拓殖大学の佐藤一麿准教授による調査結果です。日本人女性を対象として幸福度を調査した場合、幸福度の大小関係は「子どもがいない専業主婦>子どもがいない働く妻>子どもがいる専業主婦>子どもがいる働く妻」の順になるとのこと。子どもが既婚女性の幸福度を低下させている、そしてワーキングマザーのほうが専業主婦より幸福度が低いというのです。
アメリカでは、真逆の結果が出ています。2012年にGallupが全米6万人以上の「子どもがいる専業主婦」「子どもがいる働く妻」「子どもがいない働く妻」に行った調査によると、この中で不安、悲しみ、ストレス、怒り、落ち込みを感じる比率がもっとも高かったのは「子どもがいる専業主婦」でした。意外にも、専業主婦を「自ら専業主婦を選んだ人」と「やむなく専業主婦をしている人」で分けても同じ結果が得られたそうです。そして、「子どもがいる働く妻」と「子どもがいない働く妻」の間にはほとんど差が見られませんでした。
確かに、アメリカで「専業主婦です」と、専業じゃない人たちに名乗ろうものなら、「あら! わたしは専業主婦っていいと思うわよ。子どもは親といるのが一番だからね、大昔はそれが当たり前だったし」などと大げさに励まされ、むしろ専業主婦でいちゃダメなのかと不安になり、悲しみとストレスを感じ、時には怒り、そして落ち込みます。だからか、「専業主婦です」ではなく「今は休職中です」という表現を使う母たちも多いです。母親業って何よりも大変な仕事のはずなんですが、残念ながらリンクトインで披露できるような職歴にはなりません。
それからこの調査、日本と違って「子どもがいない専業主婦」が調査対象に入っていないんですよね。まるで「子どもがいないならまだしも、働いてもいないなんてことないですよね?」と言われているみたい。初対面の人に尋ねる定番の質問が「お仕事は何をされていますか」というアメリカでは、悲しいかな、職に就いていないと自己紹介さえ満足にできないのです。