Q:どうすればうつを予防できますか


A:睡眠、食事、運動、休養。この四つは基礎的な体力と精神力を保つのに不可欠です。とりわけ、うつ予防に重要なのは睡眠と食事。日本人は睡眠時間だけでなく、ベッドでリラックスしてゴロゴロしている時間も短いのが問題です。夜中のスマホの使用と深酒は控えましょう。運動は週1ペースでいいので楽しんで習慣化すること。

 周囲に不安や不満を打ち明けるのも大事です。心の中でもやもやしたまま留めずに、言葉にして聞いてもらうだけで楽になります。ほっとできる空間や時間、話し相手を持つのは強みです。

Q:会社に行きたくないときは休むべき?
A:仕事の状況にもよると思いますが、可能な限り休むことをおすすめします。当日朝でもいいから会社に連絡し、有給休暇を取ればいいのです。2、3日休んですっきり回復することで長期にわたる休職を回避できれば、組織の効率アップにもつながります。

 とはいえ、どの程度なら休むべきか、という判断の線引きは難しいところです。風邪をひいたとき、「これぐらいなら」と出勤することもあれば、「ちょっと厳しいかな」と休むときもありますね。心のバランスも同じで、普段の自分のコンディションを知り、自己管理できるようになるのが理想です。さえない表情で周囲の士気を下げるよりは、休んでしまった方がいいという判断もありです。

Q:受診をすべきタイミングはいつ?
A:大事なのは、健康と症状が出る境目の段階での早期発見・早期治療です。不安や憂鬱な気分は、誰もがしょっちゅう感じています。これを強度と期間の二つの軸に照らし、「普段と違うな」と気付いたときには受診をおすすめします。

 心の不調を早めに察知するには、自分の心の中を時々のぞく習慣を身につける必要があります。心は揺らぐもの、心の病気は誰でもかかることを知っておくのも大切です。精神疾患はいろいろありますが、どれも最初は不安やいらいらといった感情の変化のほか、頭痛、下痢、不眠、食欲低下、生理不順など体の不調として表れます。ランチの行く先を決められなかったり、仕事が終わってもなんとなく職場に残っていたりするのも、うつのサインかもしれません。

Q:主治医を選ぶとき注意することは
A:遠くの名医よりも通いやすい近所の専門医を。専門医は日本精神神経学会のホームページで確認できます。初診で30分以上割いて、話を聞いてくれる医師であること。受診によって医師と心のつながりができたという実感や、安心できたという体験を積むのが治療の大切なプロセスになります。いきなり投薬治療を勧める医師は要注意です。

 初診時に採血をしてくれるかも大事です。甲状腺ホルモンの異常で気分の変調をきたすこともあるからです。中高年のうつの場合、認知症との区別が問題になります。うつが治らないまま認知症になる人もいます。そうした点からも、メンタル以外にも基本的な健康チェックに目が届く医師は信頼できます。

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