

「コンビニ百里の道をゆく」は、50歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
【注文を受けた商品は、こんなふうにウーバーイーツの配達員の方に手渡します】
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街を歩いていると、Uber Eats(ウーバーイーツ)のバッグを背負って自転車を漕ぐ人を見かけることが増えました。ウーバーイーツはフードデリバリーの一つで、飲食店と利用者の間に入り、商品を届けてくれます。
8月末、ローソンは日本のコンビニ業界で初めてウーバーイーツを活用した実証実験を始め、食品だけでなく日用品の取り扱いもしています。
コンビニは徒歩数分の距離にあるのに、デリバリーの需要はあるの?と思われる方もいるかもしれません。実験開始から1カ月以上が経ちましたが、反響も良く、リピーターの方も多いです。「スッピンなので外に出たくない」といったときにニーズがあるようです。
ビジネスパーソンにも需要があって、昼食をウーバーイーツでという方もいます。オフィスビルでは昼間、エレベーターが大混雑することもある。待つのが億劫なとき、自分のいるフロアまで持ってきてくれるところに、お客さまは利便性を感じておられるようです。
意外だったのは、「配達料が明確」なことが注文のハードルを下げている可能性があるということ。たとえば、配達料がかからないと、少額なものを一つだけ頼みたいと思ったときに何か悪いような気持ちになり、特に必要でないものまで一緒に頼んでしまうこともあるそうです。一方で、配達料が明確だと、気兼ねなく注文でき、安心感もあるという声がありました。
お店にとっても利点があります。ご来店されないお客さまにもこうした形でお買い上げいただけるので、売り上げにつながります。
スイーツやフライドフーズの注文も多く、デリバリーの人気ナンバーワンはからあげクンレッドです。今は首都圏13店舗での実験ですが、さらに広げていくことができればと思っています。
※AERA 2019年10月14日号