普段はお年寄りの憩いの場になっているという雪谷大塚店のイートインスペース。オーナーの中村さんは「今後は子どもとお年寄りのコラボイベントができれば」と話す(撮影/慎芝賢)
普段はお年寄りの憩いの場になっているという雪谷大塚店のイートインスペース。オーナーの中村さんは「今後は子どもとお年寄りのコラボイベントができれば」と話す(撮影/慎芝賢)
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バーコードリーダーを商品にかざし、「レジ打ち」体験。真剣な表情で取り組んだ(撮影/慎芝賢)
バーコードリーダーを商品にかざし、「レジ打ち」体験。真剣な表情で取り組んだ(撮影/慎芝賢)
棚に商品を補充する。参加することを伝えていた小学校の担任の先生が見学に訪れ、大はしゃぎする場面も(撮影/慎芝賢)
棚に商品を補充する。参加することを伝えていた小学校の担任の先生が見学に訪れ、大はしゃぎする場面も(撮影/慎芝賢)
普段は立ち入れないバックヤードに回って冷蔵庫の清涼飲料水を補充する。「初めて入りました」とつきそいの保護者も興奮気味だった(撮影/慎芝賢)
普段は立ち入れないバックヤードに回って冷蔵庫の清涼飲料水を補充する。「初めて入りました」とつきそいの保護者も興奮気味だった(撮影/慎芝賢)

 全国3700カ所に広がった「こども食堂」。コンビニ大手のファミリーマートが始めたこども食堂は始動3カ月で100店舗に達した。その名称や形態は地域によってさまざま。全国の「こども食堂」がめざす緩やかな共通項とは。

【写真】「レジ打ち」体験をしている子どもたち

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「おいしーい」

 りりしい制服姿の子どもたちが、ファミチキ(フライドチキン)やおにぎりにかじりつく。ひじきやレンコンの煮付け、麦茶とデザートのプリンもついたメニューに、子どもたちは歓声を上げた。

 東京都大田区のファミリーマート雪谷大塚店で7月27日に開かれた「こども食堂」。この日集まったのは、近所に住む幼稚園の年中から小学4年生までの子どもたち13人と保護者たちだ。コンビニ大手のファミリーマートが運営するこども食堂の特徴は、食事を共にするだけでなく、就業体験もできること。ジュニアサイズの店員の制服に着替えると、早速「おしごと体験」が始まった。

 バーコードリーダーを商品にかざして「レジ打ち」をする。バックヤードに回って大型冷蔵庫の清涼飲料水を補充する。時には背伸びして、棚に商品を置いていく。店長らの指導を受けながら、子どもたちは真剣な表情で取り組んだ。

 全国で「ファミマこども食堂」を展開すると発表したのが今年2月。報道番組でこども食堂の存在を知った澤田貴司社長(62)が、「食材があり、イートインスペースもあり、スタッフもいる。うちでもできるんじゃないか」と発案した。実際に始めたのは5月で、これまで全国約100店舗で開かれた。

 各店舗に事前に申し込み、食品のアレルゲンチェックなども行う。参加費用は子ども100円、保護者ら大人が400円。提供する食事は同店の商品を約500円分組み合わせたもので、不足分は同社本部が負担する。

 全国約1万6500店舗のうち、約2千店に広めのイートインスペースがある。

「近々、あと20店舗ほどで開催が決まっていますが、数を追い求めているわけではなく、できるところで無理なくやっていただければと考えています。いずれも不定期開催で、評判は上々です」(同社広報)

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