雪谷大塚店ではこの日が5回目の開催で、早くも地元に定着したイベントになりつつある。常連客への声かけや店内に貼り出したポスターで周知しただけだったが、6月に開催した初回には約60人が詰めかけ、午前と午後の2部制にして対応するなど大盛況だった。2回目も2部制で行い、今回は定員を絞ってゆったりと開催した。

 同店を含め5店舗を経営するオーナーの中村七重さん(40)はこう語る。

「アンケートを見ると、『コンビニの内側を見ることができて楽しかった』などおおむね好評です。私たちも常連のお客さまの顔は存じ上げていても会話はほとんどしたことがなかったので、コミュニケーションを取るいい機会にもなっています。幼稚園で一緒だったのに小学校ではバラバラになった子たちがここで再会して喜んでいる姿を見て、そういうつなぎの場になっている嬉しさもあります」

 同じ小学校の友だち5人と参加した小学2年生の早川梓希(あずき)さん(7)は「レジ打ちが楽しかった」と満足そう。見守っていた母親も「私自身、2年前に引っ越してきて知り合いもいない中、地域とつなげていただける機会はとてもありがたく感じます。子どもにとっても、キッザニアのような疑似体験学習の場はあっても、本当の就業体験ができる機会は貴重だと思います」と納得の表情だった。

 同社の取り組みとは別に、そもそも2012年に東京都大田区で始まったとされる「こども食堂」の定義は「子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂」というざっくりとしたものだ。保護者の手が行き届かず、満足な食事を取れない子どもたちが大勢いることが徐々に明らかになり、各地で増えていった経緯がある。

 だから名称も形態もさまざまだ。子どもだけが参加できるものや親の参加も可能なところ、さらに地域住民も自由に参加できて交流拠点となっているところもたくさんある。

 こうしたこども食堂の実態について6月下旬、NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(理事長、湯浅誠東京大学特任教授)が調査結果を発表した。

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