さまざまな形態のこども食堂を自治体の申告に基づいて集計したもので、全国に少なくとも3718カ所あることを確認した。昨年比で1.6倍、16年と比較すると12倍に増えている。数が多いのは東京都(488カ所)、大阪府(336カ所)、神奈川県(253カ所)といった人口密集地域だ。
一方、こども食堂の数を小学校数で割った充足率で見ると、最も高いのは沖縄県(60.5%)、滋賀県(52.5%)、東京都(36%)、鳥取県(35.2%)で、逆に充足率が低いのが秋田県(5.5%)、青森県(5.6%)、長崎県(7%)と地域差が色濃く出た。
湯浅理事長は言う。
「貧困家庭の子が食べにくる場だと誤解をしている人がまだ多いと思います。ぜひ足を運んでいただきたい。この前、こんなことがありました。楽しそうに参加していた小学5年生の男の子が『初めて食べたけど、おいしいね。これ何ていうの』と尋ねたのは献立のコロッケでした」
快活な子が発した言葉に、周囲の大人は驚かされた。
こども食堂には、こうでなければいけないというロールモデルはなく、地域によって多種多様であるべきだといわれている。お寺や公民館などを会場に、食生活に恵まれない子も、そうでない子も安心して集い、参加した大人たちが問題意識を共有し、地域として子どもたちを見守る場に育てていく──というのが緩やかな共通項だ。
湯浅理事長は「ファミマこども食堂」についてもこう前向きに評価した。
「地域の交流拠点として非常にいい場だと思います。子どもたちにとっても、普段入れないバックヤードに回って商品整理をしたり、レジ打ちをするようなことは気分が『上がる』体験になりますよね。次の調査からは、協力し合って統計にも反映できたらと思います」
(編集部・大平誠)
※AERA 2019年8月26日号