相続時精算課税制度を使って贈与を受けた父母、曽祖父が亡くなり、相続が発生したときは、生前贈与した金額がほかの相続財産とともに相続税の課税対象になる。
要は「2500万円までの生前贈与はその後発生する相続を生前に行ったもの」と見なしてくれるのが、この相続時精算課税制度なのだ。
そのメリットは、贈与税のほうが相続税よりもはるかに税率が高いので、節税しながら相続財産を子や孫に生前贈与できること。さらに、生前贈与された資産の価値は贈与時の価格で評価されるので、贈与した金が運よく値上がりした場合、その値上がり益には相続税がかからないという点もポイントだ。
不動産を生前贈与すると、贈与された側は毎年、固定資産税を支払わなければならない。意外に知られていないが、金はいくら保有しても固定資産税がかからないので、贈与される側の負担も少なくてすむのである。
金の贈与や相続で悩むほど資産はない、という人もいるだろうが、もし金地金やコインを保有しているなら、その輝きと価値を子孫へと受け継いでいくためにも、金にまつわる税金について少しは知っておこう。(構成・文/安住拓哉、伊藤忍)
※アエラ増刊「AERA with MONEY 毎月3000円で純金投資」の記事に加筆・再構成