まだあどけなさの残る細身の青年だが、彼こそが世界最高峰のリーグ戦で、史上2人目となる3戦全勝を達成したプロスケートボーダー・堀米雄斗だ。来年の東京オリンピックから正式種目として採用されるスケートボードの魅力を、ストリートのカルチャーと共に周知していきたいと話す。
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スケートボードでは湾曲面を組み合わせたコースで競う「パーク」と、街中を模したコースを滑る「ストリート」の2種目が実施される。
ストリートで昨年、世界の度肝を抜いたのが堀米雄斗(20)だ。世界最高峰となるリーグ戦で、史上2人目となる3戦全勝を達成した。
ひょろりとした細身の体にあどけなさが残る青年なのに、ボードに乗って滑り出せば、独創的なトリック(ジャンプなどの技)を連発。タトゥーをまとった筋骨隆々の外国人ボーダーたちを「アメージング!」とのけぞらせる。東京五輪でもメダルの期待がかかる堀米は自分に言い聞かせるようにこう話す。
「スケートボードが五輪競技になったのは素直にうれしいし、いろんな人に知ってほしい。もう一つの目標として、この競技らしいストリートのカルチャーを僕自身が忘れないようにしてみんなに伝えたい」
この競技、日本では競技というより「遊び」に近い感覚か。日本スケートボード協会が認めるプロ資格者は100人。小さな裾野から、なぜこれほどの逸材が生まれたのか。
「運動神経は並。でも、ほかに凄いものを持っている。世界でこんなヤツは10年、いや30年にひとりかもしれない」
そう高く評価するのは、堀米を11歳から指導してきた早川大輔(45)。その根拠として三つの素質を挙げた。
一つめは、集中力。難度の高い技は一つ体得するのに数カ月かかることもあるが、練習で集中力を切らさない。
「他の子が集中できなくなって雑談を始めても、雄斗はやめない。できるまで、何らかの手ごたえを感じられるまで続ける。技をものにする瞬間を感じ取って、微調整しながらやり続ける」