「コンビニ百里の道をゆく」は、49歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
* * *
経済産業省は2025年までに日本のキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げることを目標に掲げています。今年は日本の「キャッシュレス元年」という声もあります。
さまざまな支払いサービスが登場するなか、ローソンでは独自のペイメントサービスを持っていません。自作する予定も、今のタイミングではないと思っています。
決して後ろ向きなのではなく、お客さまにとって一番便利な形を取りたいと、バーコード決済では、11種のサービスに対応しています。ライフスタイルによって、使うサービスも異なるでしょう。ローソンでは、「使いたいのに使えない」という事態にならないよう、バーコード決済が登場したときに真っ先に取り入れました。
キャッシュレスサービスは便利な一方、広がれば広がるほど、クレジットカードと同様に店舗の決済手数料の負担が増えていきます。これはローソンの加盟店だけでなく、小売店・飲食店すべての課題です。
こうした負担を少しでも減らせればと、ローソン銀行で手数料を引き下げられるような仕組みを検討しています。BtoBのサービスなので、お客さまの目にはなかなか触れないかもしれません。でも、キャッシュレス化が進むなか、必要なことだと考えています。
構想が動き始めて、足かけ2年。支払いの根っこに関わるサービスなので、間違いのないように慎重に進めなければというプレッシャーもあります。社内に専門のチームを作り、パートナー企業にも協力していただいています。
まずは広くお客さまが使える支払い方法を準備して、それぞれの店舗で気負わず導入できるよう、手数料の壁を切り崩していく。
キャッシュレスサービスを皆が気持ちよく使える仕組みをつくっていきたいと考えています。
※AERA 2019年8月5日号