全国各地で開かれている「フラワーデモ」。かつて性被害を受けた人たちが、安心して傷を語れる場だ。自分を責め、傷ついてきた被害者たちが、静かに語り始めた。
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小花柄のロングスカートをはいた女性が、マイクを握りしめ、泣きながら話し始めた。
「私は小さい頃から、父と母に、精神的、肉体的に性的暴力を受けてきました」
しとしとと雨が降り、気温は20度を下回る肌寒い日だった。7月11日の夜、東京駅近くの行幸通りには、約200人の人が集まった。手に花を持つ人もいれば、花柄の洋服を着ている人もいる。4回目となるフラワーデモが、この日行われた。
フラワーデモは、「性暴力を許さない声をあげよう」と、4月11日に東京と大阪の2カ所で開催された。3月に相次いで性暴力事件の無罪判決が出たこと、そして無罪を疑問に思う声に対し、ツイッターで弁護士などから「感情的に無罪を批判するのは的外れ」などの批判が起きたことがきっかけだった。
その後、自分たちの地域でも行いたいと声があがり、毎月11日に各地でデモが開かれている。7月には東京以外にも、札幌、名古屋、大阪、鹿児島など、14都市で開かれた。
冒頭の女性は声をつまらせながら、懸命に訴えた。小さいころ、裸で外に出されたり、風呂場に閉じ込められたりしたこと。女性が弾いていたピアノの上に、アダルトビデオが置かれていたこと。男性の体液がついたティッシュが、生理用品を捨てるゴミ箱に捨てられていたこと。
「私はそれが性的な虐待とわからずにいました。今、その後遺症に悩んでいます。精神科の先生に、間違いなくあなたは性的虐待を受けているし、あなたの両親がおかしいんだよ、そう言っていただいたので、今日はがんばってここに来られました」
温かい拍手がわいた。デモとは思えないほど、静かな場だった。シュプレヒコールも、ラップも、音楽もない。性暴力の被害者が多く集まっているため、フラッシュバックなどが起きることを懸念し、突然大きな声や物音を出さないように主催者が最初に注意を促していた。スピーチをしたい人が順番にマイクを持ち、自分の思いを話す。それを聴衆が受け止める。フラワーデモは、そんな静かなデモだ。