たとえば、現政権であれば、憲法改正はセットでついてくるでしょうし、増税反対という政党は、財政赤字が膨らむなか、財政健全化に具体的なプランを持っているのか。語られないところこそ、考えたいと思っています。
(構成/編集部・熊澤志保)
●竹増貞信(ローソン社長)
いま話題の「老後2千万円問題」を争点とすべきなのか、疑問を感じています。単に数字を出して不安を煽(あお)るだけでは財布のひもが固くなり、景気も落ち込む一方です。「2千万円」を争点にするより、国民が将来に対して安心できる道筋を示すことが先決だと考えています。
大局的には、日本経済の行方は米国と中国の関係が大きなインパクトを持つと見ています。両国の貿易摩擦は6月の米中首脳会談で「一時休戦」となりましたが、再びこじれたら、その影響を受けずに日本経済を立て直すのは非常に難しい。米中問題の解決に向けて、間接的だとしてもどう役割を果たしていけるのか、各党の力量を見極めたい。
先日のG20でも議題に上がったプラスチックごみの問題や、食品ロスの問題など国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)にどう臨むのか、ということにも注目しています。私たち企業も、プラスチックに代わる素材の活用や各店舗の食品ロスを減らす活動を始めました。
SDGsの根っこにあるのは貧困問題。食品が大量に捨てられる一方、おなかいっぱい食べられない子どもがいる矛盾を日本も抱えています。空腹を満たし、教育も医療もしっかり受けられるようにすることがSDGsの目標達成につながっていく。こうした課題にどう取り組むのか注視したいと思っています。
(構成/編集部・福井しほ)
※AERA 2019年7月22日号