女性のライフスタイルに詳しいブームプランニング代表の中村泰子さんは言う。
「女性の社会進出に加えバブル崩壊後の厳しい経済状況もあって、女性たちは結婚に夢を見るのでなく、結婚後のリアルを見据えてパートナー探しをするようになりました」
メーカー勤務の女性(24)は言う。
「高収入を男性に求めるって、母たちの時代にはありかもしれないけれど今の時代、難しいですよね? 自分も働くので、自分と同じくらいの収入があればいい」
女性は厳しい時代を生き抜くためこつこつと貯金をし、投資の勉強も計画している。男性の収入はもとより、収入を給料だけに頼るのは心許ないからだ。
30代で“アプリ婚”した女性は、アプリで希望の男性を絞り込む基準に「収入と身長」を設けていた。でも、3高を求めてではない。
「収入を絞り込みの対象にしたのは、高収入を求めてではなく、最低限これだけは欲しいという線引きのためです。生活水準があまりにもかけ離れていると共同生活は厳しいと思うので。それにマッチングアプリでは、高収入の男性は人数が限られます」
3高に代わり女性たちが求めているのは、収入以前に「普通の男性」だと冒頭の女性は語る。
女性によると男性のタイプは二極化している。コミュ障だったり、夢を追いすぎていたり、頭でっかちでこじらせちゃったり……。フラフラいつまでも学生でいたり、ちゃんと働いているのかどうかよくわからない「ダメ男」系。
それか、大学卒業後、一流企業に就職して自由になる大金をつかむや遊びまくっている「チャラ男」系だ。
「ダメ男もチャラ男も結婚後の安定的な家庭生活を協力して築くことは難しいですよね。私たちが求めているのは、その真ん中。地に足をつけて、まじめにコツコツ働く『普通の男性』です。でも、ゆとり世代で自由に育ちすぎてしまったのか、そういう男性がなかなかいないんです。いても、学生時代にほかの女性たちにキープされてしまうので狭き門です」
(編集部・石田かおる)
※AERA 2019年7月8日号より抜粋