

立憲民主党が市井紗耶香さんの擁立を発表した。知名度に頼るのかとの批判もある。党が強調するのは4児の母という側面。代表がアイドル好きだから、ではない。
【写真】党首討論で安倍首相に質問する立憲民主党の枝野幸男代表
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真っ白なスーツ姿は、あの蓮舫参議院議員をほうふつとさせた。かつての国民的アイドル「モーニング娘。」元メンバーの市井紗耶香さん(35)は、来たる参議院選挙に立憲民主党の比例代表候補として挑戦する理由を記者会見でこう語った。
「私自身、4人の子どもを持つ母親なので、子育てを中心に、どうしたら子どもたちの未来が明るくなるか考えたのです。例えば、原発に関して、子どもを育てる親として事故当時から不安になっていましたから。政治には子どもの頃から興味を持っていました」
国政に転身した元アイドルで思い出すのは、沖縄出身で元「SPEED」メンバーの今井絵理子参議院議員だ。前回、2016年の参院選で自民党全国比例で当選。しかしその後、男性関係をめぐる週刊誌報道をきっかけに、事実上、政治の表舞台から姿を消して現在に至る。
市井さんの会見後、ネットには賛否の声があがった。目立つのは、「政治経験のない元アイドルに国政をまかせてよいのか」といった意見だ。
擁立した立憲民主党の狙いはどこにあるのか。市井さんの圧倒的な知名度に期待していることは間違いないだろう。加えて、会見に同席した福山哲郎幹事長は、これも自民党との対決戦略のひとつだと説明する。
「市井さんのような、子育て真っただ中の女性だからこそ、この社会を具体的にこう変えたいという意思がある。今回、比例候補には社会の多様性を象徴する『当事者』を揃えました。同じ比例の候補者でも、業界団体の代表を並べただけの自民党とは全く景色が違うと思います」
確かに比例代表の顔ぶれには「聴覚障害を持つ筆談ホステス」や「テレビ等で活躍する刑事弁護人」「LGBTの当事者」など個性的な面々が並ぶ。
また、6月28日現在、立憲民主党の立候補予定者42人中、女性は19人(全国比例10人、選挙区9人)。立候補予定者の45.2%にあたる。共産党が40人中22人(全国比例14人、選挙区8人)の55%で最も多く、立憲民主党はそれに次ぐ割合だ。自民党は立候補予定者82人中女性は12人(全国比例5、選挙区7)で14.6%、公明党は24人中2人(全国比例1、選挙区1)で8.3%だ。