「そもそもの原因になった入江さんが、『友だち5000人』を売りにしていたのはわれわれ一般視聴者も知っているくらい有名なことでした。そういうところに反社会勢力が食い込んでくるのは、当然プロダクションが予見しなければいけない。謝罪の仕方というよりリスク管理という点で、吉本興業が大企業として形式的なことしかやっていなかったのではないか。そういう責任を一番感じます」

 吉本興業は島田紳助さんが暴力団との親交を理由に引退したという前例があるが、その時の教訓が生かされていないと増沢さんは言う。

「大企業ほど形式主義に陥りがちで、コンプライアンス順守さえすればよいということまでしか思い描けない。興行の世界にいた吉本興業はそういうことは分かっているはずでしょうが、大企業化とともに形骸化してしまったのではないでしょうか」

 今年4月、吉本興業はNTTと組み、教育コンテンツ等を国内外に配信する「ラフアンドピースマザー」を始めると発表。このプラットフォームには、官民ファンドのクールジャパン機構が最大で100億円を段階的に出資するという。社会的影響力の大きい大企業であり、その責任は重い。

 世間の批判を受けてか、吉本興業は27日、「決意表明」として「社員・タレントが一丸となってコンプライアンス遵守の再徹底を図る」とする文書をリリースした。(編集部・小柳暁子)

AERA 2019年7月8日号