アメリカの市販離乳食。左から、4カ月頃~用、6カ月~用、8カ月~用。固さにそれほど違いがないのがわかります。ちなみに分量もまったく同じですね。(写真/筆者提供)
アメリカの市販離乳食。左から、4カ月頃~用、6カ月~用、8カ月~用。固さにそれほど違いがないのがわかります。ちなみに分量もまったく同じですね。(写真/筆者提供)
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 日本語は、世界でも群を抜いて味覚表現の数が多い言語だそうです。英語の味覚表現は77語、ドイツ語は105語、フランス語は227語なのに対し、日本語は445語もあるそう(独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所/早川文代博士調べ)。それだけ日本人は食を大切にし、情熱を注ぐ国民なのでしょう(ちなみに、ここでは日本人=日本語を使う人と捉えることにします)。

 食への情熱は、離乳食にも注がれています。特に、離乳食の固さに対するこだわりといったら。子育て中の皆さんには言わずもがなでしょうが一応おさらいしますと、離乳食の基本とされるおかゆは、初期(5~6カ月)は10倍がゆをすりつぶしたものから始め、中期(7~8カ月)は7倍がゆ、後期(9~11カ月)は5倍がゆ、完了期(12~18カ月)になったら軟飯に、と月齢ごとに固さが細か~く指導されます。これまでの人生では考えたこともなかったおかゆの固さに四苦八苦するようになり、子育て仲間の友人はそれを「おかゆ専門家になった気分」と表していて思わず膝を打ちました。

 専門家ならまだしも、我々はただの親であります。10倍、7倍、5倍、とおかゆの濃度を綿密にはかり、乳鉢でていねいにすりつぶし、もし固すぎになってしまったらまたゼロから作り直し――などと毎日する必要があるのだろうか。そのおかゆは、数秒後には子によって床へ叩きつけられる運命にあることも多々だというのに。

 ひるがえって、アメリカ。アメリカの離乳食は、そこまで固さに気を遣っていません。写真をご覧ください。スーパーで買ってきた瓶詰めの離乳食です。左から、4カ月頃~用、6カ月頃~用、8カ月頃~用。左から右へいくにつれて水分量が減っているとはいえ、そう大きな変化はありませんし、そもそも固さの違いは食材の粘度によるものとも言えそうです。左は洋ナシ、真ん中はリンゴ+ラズベリー+アボカド、右はサツマイモ+大麦です。

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