近年のお笑いコンテストの中で、それがうまくできていると思われるのが、TBSが主催するコントの大会『キングオブコント』である。というのも、この大会の関連番組として2021年に『キングオブコントの会』が始まり、これが大いに盛り上がりを見せているのだ。
『キングオブコントの会』では、ダウンタウンの松本人志、さまぁ~ず、バナナマンに『キングオブコント』の過去のチャンピオンやファイナリストの芸人が加わって、さまざまな種類のユニットコントを披露する。
しかも、特筆すべきは、その中に松本が書き下ろした新作コントも含まれているということだ。『ダウンタウンのごっつええ感じ』『松本人志のコント MHK』といった、かつての松本のコント番組では、彼自身の発想がベースになっていて、彼の意向が全面的に反映された作りになっていた。
だが、『キングオブコントの会』では、出演する芸人たちが自ら考えたコントを演じていて、松本が作ったコントもその中に含まれているだけだった。
しかも、松本が手がけたコントの中では複数の芸人が出ていて、それぞれの芸人が自由に何をやってもいいと松本に任されているパートがあったことも明かされていたことがあった。
つまり、この番組で松本は孤高の天才として独裁的に振る舞うことをせずに、後輩芸人たちの自主性を尊重して、のびのびとコントを演じさせているのだ。そのため、『キングオブコントの会』は、過去の松本のコント番組と比べても和気あいあいとした空気が流れる温かみのある番組に仕上がっていた。
コントでは視聴率が取れないと言われる時代に、『キングオブコントの会』は高視聴率だったため、今年も3月25日に放送されることになった。『キングオブコント』で結果を残したコントを本業とする芸人たちが、笑いのカリスマである松本の前で存分に腕を振るうのが見どころだ。
お笑い界にとって意義のある番組であると同時に、視聴者にとって面白い番組だし、『キングオブコント』という大会を盛り上げる効果もある。『キングオブコントの会』は一石三鳥の良質なお笑いコンテンツなのだ。(お笑い評論家・ラリー遠田)