家族とともにロンドンに拠点を移して7年。音楽を取り巻く状況は変わり続けるが、自分を奮い立たせ、挑戦を続けている布袋寅泰。最新作は元BOOWYベーシストの松井常松、ドラマーの高橋まことが参加したことでも話題となっている。
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「はじめまして、布袋です」
差し出された布袋寅泰さん(57)の手は、驚くほど艶やかで柔らかかった。最新作「ギタリズムVI」のサウンドもまた、重厚でありながら爽快感とみずみずしさにあふれている。
「そうか『ギタリズム』でソロデビューしてからもう30年か、と。当時はバンドから一人になって孤独も感じたけれど『自分の道を切り開いてやる!』という決意もあった。再びそのコンセプトと向き合うことで“いま”の自分を映し出せるのでは、と思ったんです」
激動する時代のなかで自分を見つめ直し、アップデートする。そんな思いを込めたという。31年ぶりに元BOOWYのベーシスト松井常松さん(58)、ドラマーの高橋まことさん(65)がアルバムに参加していることも話題だ。
「BOOWYは自分にとって大きすぎて、彼らと一緒に演奏することに自らストップをかけていた部分があったんです。でも昨年、2人が僕のツアーを見に来てくれて。お互いに白髪もしわも増えたけれど、2人とも『熱い想いは変わっていないね』と言ってくれた。だから思い切って『一緒にやらない?』と声をかけたんです。だって待っていても誰も言ってくれないから(笑)。レコーディング中、気が付くと3人とも笑ってるんだよね。なにか“しあわせ”を感じたんだと思う。こんなふうにストレートに言えるのも年月を重ねたからかな」
この30年で音楽を取り巻く状況は大きく変化してきた。
「僕の16歳の娘もヒップホップばかり聴いてますからね。『パパの音楽はちょっと古いんだよね』なんて言われないように(笑)、モダンでありつつも王道でありたい。ギターの音が聴こえるだけでボッと心に炎がつくような、迫力や爽快感が僕の目指す音楽ですから」