伝説的ロックバンド「ビートルズ」。その結成当時を描く舞台「BACKBEAT」。出演する6人がこの作品にかける思いを語り合った。
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──物語の舞台は1960年代で、演じるのは、あのビートルズ。作品に向かう難しさはありますか。
戸塚祥太(以下、戸塚):かなりハードルが高いなということを、身をもって感じています。まだ誰にもなれていない時代のビートルズということで、自分たちも先入観なしにやらなければいけない。その辺が難しくもあり、面白い部分でもありますね。
辰巳雄大(以下、辰巳):ジョージ・ハリスンって“静かなビートル”と言われていたのですが、この作品のなかのジョージって若さがあふれているんですよね。自分がイメージしていなかったジョージ・ハリスンがいたので、僕は意外と早く掴めた感じはあります。
JUON:完全にコピーをできるわけではないので。「あのとき、自分だったらどうしていただろう」と考えて、それがポール・マッカートニーの目線と重なる瞬間みたいなものを見つけていくのが近道というか。
上口耕平(以下、上口):僕はジョン・レノン役の加藤和樹君とリバプールに行き、ビートルズゆかりの地を回ったのは大きかったかな。
加藤和樹(以下、加藤):空気感というか。舞台の音響でもカモメの鳴き声が入るシーンがあるけれど、実際リバプールに行くと、カモメがものすごく鳴いているんだよね。朝、港のほうまで散歩するとうるさいくらいに。
上口:そう、ずっと鳴いているんだよね(笑)。あと、暮らしている人々がみんなハッピーな感じだった。
一同:へぇー。
上口:「ビートルズ好きなの?」と気軽に話しかけてもくれる。こんなに温かい街でこの天才たちが育ったのか、というところは肌で感じることができました。
夏子:私は、戸塚さん演じるスチュ(スチュアート・サトクリフ)と(その恋人である)アストリッドという二人の存在を、知らなかったんです。ビートルズファンの方なら知っているのかもしれないのですが、ビートルズに愛され、ビートルズが憧れた女性がいた、ということをまず知ってもらいたいな、と。