上口:ビートルズのことは、戸塚君が一番好きなんじゃないかな?
戸塚:アルバムを一通り聴いていた、というだけなのですが、中1くらいからぼんやりと聴いていましたね。音楽を聴くようになって、「ビートルズも聴くべきだろう」という最初は義務感のようなものから。その頃はどちらかというと、中期から後期のビートルズの曲が好きでした。ジョン・レノンはもう、サイケデリックな方向に行っていたのですが(笑)、行動力も含め、ジョンに惹かれていましたね。
──英語のせりふもありますし、当然、歌詞も英語。そのうえ、演奏シーンも多いとか。
加藤:脚本を読んだときは正直、「ちょっと無理だな」と思いました。ただ覚えて歌う、ならまだしも、芝居のなかでの歌ですし、個々に練習していたものとバンドとして合わせるときのテンションの違いなど、すごく難しい。でも、歌は「これがビートルズだ」と見せるためのツールの一つに過ぎないというか。
JUON:確かに、うまい下手よりも色や雰囲気が大事というか。みんなでグルーヴして、みんな同じ気持ちで演奏する、というのがビートルズだし、バンドなんですよね。
加藤:そう、俺たちバンドなんですよ。
辰巳:来年あたり全国ツアーをやりますか(笑)。
JUON:僕は1月の後半から(実際のポール・マッカートニーのように)ずっと左手で練習を重ねていて。スチュはベースなんですが、バンドとして初めて一緒に音を出した瞬間、めちゃくちゃうまかったんですよ。
戸塚:いやいや。
JUON:僕はたどたどしい感じで弾いていたけれど、スチュの演奏を聴いてこれはヤバいな、と。本当は僕のほうがうまくなければいけないのに、いきなりハードルが上がってしまった。
加藤:でも、左手で弾けるのはJUON君くらいだから。
(ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2019年5月27日号より抜粋