映画の撮影現場にも1度だけ訪れた。

「そのとき、私も一瞬ですがエキストラとして出演しました。裁判で傍聴しているシーンがあるのですが、スーツにネクタイ姿で映っています。とてもいい経験でした」

 吉岡さんはその日、別の撮影があって不在だったが、東出さんらとは話す機会があったという。

 仙波さんは一人でも多くの人にこの映画のことを知ってほしいと、愛媛県警の記者クラブを訪れたという。

「映画のチラシを記者に渡しにいったのです。配り終えて記者と雑談していると、県警の広報担当者が息せき切ってやってきて、『仙波さんちょっと』『ここはダメなので』と言いました。裏金告発からは18年も経っているのに、という感じでしたね」

 映画の撮影が終わってから公開されるまで1年ほどあったといい、仙波さんは「警察の圧力」も危惧していたという。

 ある警察幹部は取材に、

「困った映画だな。また警察の裏金問題が蒸し返されるきっかけになりかねないよ。吉岡さんがうまく演じているからな」

 と話した。

 仙波さんは、

「無事、上映にこぎつけられよかった。吉岡さんや制作にかかわった皆さんに感謝したい。ぜひ映画館で見てほしい」

 と話している。

(AERA dot.編集部 今西憲之)

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