元総務相、元鳥取県知事の片山善博さん
元総務相、元鳥取県知事の片山善博さん

 意見を聞いて、すり合わせをして説得する。それによって全員は無理としても、ある程度の人たちが「そりゃそうだよね」となる。それが政治家としてのプロの技だと思います。

 例えば安倍元首相の国葬の問題などは典型的です。どうしてあんな稚拙なやり方をされたのか。岸田首相としては国葬をやることで安倍派をぐっと自分のほうに引き付ける。恩を売ることになる。そういう狙いもあったと思います。それは政治家だからあっていい。それなら、なおのこと賢く利用しなければいけない。

 私は国葬の費用は予備費を使用するのではなく補正予算にすべきだったと思います。巨額の予備費はもっぱらコロナ対策用です。国葬のための補正予算を出し、「安倍元総理を国葬として弔いたい。予算はかくかくしかじか。認めて頂きたい」と訴え、国会で議論をすべきだった。反対する人もいるが与党が多数なので最後は通ったはずです。

 補正予算であれば、支出額をめぐるゴタゴタもなかった。勝手に決めたわけではないから、正々堂々と執り行える。自民党の人たちは胸を張って国葬に参加できる。野党だって、国会で予算を承認したので国葬には参加しますと言える。

 お葬式にはみんなが参加できるようにするのが村のリーダーの務めです。日本の政治はいまだに村社会の延長のような面が強いですから。今後は、決める前に身内だけでない広い人たちの意見を聞いて、国会の議論を通じて、それから決める。そんなやり方をされたらどうかと思います。

(本誌・村上新太郎)

週刊朝日  2023年3月3日号

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