

アップルとグーグルという米IT界の巨人がゲームビジネスに参入する。ゲーム業界を牽引してきたソニー、任天堂など日本勢への影響はあるのか。
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発表会の最中に突然、日本語が響いた。
「ファンタジアンはこれまでは作れなかったゲームです」
声の主は、人気ソフト「ファイナルファンタジー」シリーズの生みの親でゲーム制作者の坂口博信氏。会場は、米アップルの新サービスなどの発表会が行われていたアップル本社内の「スティーブ・ジョブズ・シアター」だ。坂口氏は、ビデオメッセージの形で、新作ゲーム「ファンタジアン」について語った。
背景に手作りのジオラマを使い、その上を3Dのキャラクターたちが冒険していくゲームだ。「一つひとつ手作りしなきゃいけなくて、毎日、全員がほぼ苦労の連続という感じです」という坂口氏の日本語の言葉に英語の字幕がつき、会場の人々は熱心に見つめていた。
アップルは3月25日、「Apple Arcade(アップル・アーケード)」というゲームサービスを、世界の150以上の国と地域で今秋から始めると発表。「ファンタジアン」も注目タイトルの一つとして紹介された。
アップルは、毎月定額のお金を支払う「サブスクリプション・サービス」だと説明したが、その金額は明かさず、具体性に欠ける発表だった。が、iPhoneを擁するアップルのゲーム事業への参入自体が大ニュースだ。
同様にゲーム業界にとって大きかったのは、その1週間前の3月19日、米グーグルもまたゲーム事業への参入を公表したことだ。
新サービスの名は「Stadia(スタディア)」。サーバーから必要に応じてデータを受信する(ストリーミング)方式を取り、ソフト自体を自分の端末にダウンロードしないで済む。高い演算処理能力を持つゲーム機やパソコンがなくてもスマホなどで楽しめるのが特徴で、いわばネット環境さえあれば、ゲームができるのが売りだ。
サービスは今年中に米国、カナダ、欧州で開始する予定で、専用のコントローラーも発売する。日本などへの展開は「対応でき次第」(広報)。アップル同様に、月額いくらなのかといった中身の発表はなかった。