以前本誌でも紹介した中部地方に住むある女性は、PTAをやめたところ子どもが登校班からはずされ、1年以上にわたり車で送迎することになった。

 しかしこういったトラブルは必ず起きるわけではない。親が会員でも非会員でも、子どもは分け隔てなく扱う方針を打ち出すPTAは最近増えている。

「自分は我慢してやってきたのに」という役員が、やめる人に対し「脅し」として不利益をちらつかせるケースは散見されるが、実際に子どもをサービス対象からはずすことは少ない。多くの場合、校長や教育委員会が話し合いに介入して、子どもに影響が及ばないように調整してくれるからだ。

 卒業式の祝い菓子や記念品、コサージュ等、PTAから子どもに配布する物品に関しては、親がPTA会員かどうかにかかわらず子ども全員に配るPTAや、「別途実費を払えば同様に配布する」とするPTAも多い。さらに最近は、PTA会員かどうかで配布の有無や徴収方法を迷わずに済むよう、子どもにあげるものはPTA予算でなく教材費や卒対費で購入する学校も出てきている。

 そのなかでも最も話がこじれやすいのが「子どもの登校班はずし」だが、これも最近は校長や教育委員会の仲裁で登校班に戻れるケースが増えてきた。そもそも登校班を編成している学校や地域は多くない。個人登校の学校の場合は、PTA非加入の選択をしてもそう心配することはないだろう。

 子どもへの不利益があるかどうかはPTA会長や校長によることが多く、100%大丈夫と保証はできないが、「ひどい目に遭うかもしれないから入っておこう」と決めつけるのは早い。非加入も選択の一つだという認識は徐々に広まりつつある。

 都内の公立小学校でPTAを退会した女性は、昨年春に「今年度は入らない」と会長に伝えた。忙しくて活動に協力できそうにもなかったし、そのことで後ろめたさを感じるのも嫌だと思ったからだ。どう反応されるか不安だったが、すんなりと受け入れられた。子どもも本人も、嫌な思いをしたことは今のところ一度もないという。(PTAジャーナリスト・大塚玲子)

AERA 2019年4月8日号より抜粋

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