トリガー/高機能チェアで集中力アップ。会社全体の総労働時間を2割近く削減できた。左手前が、15年近く腰痛などに苦しんできた社長の近岡渉さん(撮影/今村拓馬)
トリガー/高機能チェアで集中力アップ。会社全体の総労働時間を2割近く削減できた。左手前が、15年近く腰痛などに苦しんできた社長の近岡渉さん(撮影/今村拓馬)
「腰と股関節の角度」がポイント(AERA 2019年4月8日号より)
「腰と股関節の角度」がポイント(AERA 2019年4月8日号より)

 悪い座り方を正そうと、背筋をピーンと伸ばしても長くは続けられない。疲れない理想的な座り方は「110度」がポイントだ。

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 最大のポイントは、腰と股関節の角度にある──。

 腰痛や肩こりにならない座り方について、整形外科医で『医師が教えるゼロポジ座り 疲れない、太らない、老けない』(講談社)の著書もある中村格子医師はそう指摘する。

「正しく座ってくださいと言うと、多くの人は背中も腰もまっすぐ伸ばして、腰と股関節の角度を90度に曲げた座り方をすると思います」

 90度に曲げる座り方は「直角座り」とも呼ばれ、たしかに背筋がピーンと伸びて見た目も美しい。ところが、腰痛や肩こりにならない座り方といった場合、直角座りには大きな落とし穴があると言う。

「直角で座り続けるのは、筋肉に緊張感を与えるため、体幹の筋肉がしっかりついていないと長く続けられず、次第に悪い姿勢に逆戻りします」

 では、どうすれば改善できるのか。大切なのは、「無理にいい姿勢」ではなく「楽にいい姿勢」。そこで中村医師が注目するのが「腰と股関節の角度」だ。90度ではなく、もう少し広げ、110度にするよう助言する。

 骨格に歪みのないニュートラルな状態を、医学的に「ゼロポジション」と呼ぶ。110度の状態がまさにゼロポジションに当たり、中村医師はこの理想的な座り方を「ゼロポジ座り」と呼んでいる。座り方のコツは、膝の位置を下げることだが、椅子の高さを少し高くすれば、簡単にゼロポジションが作れる。股関節の角度の他にも、あわせて五つのポイントがある。

(1)股関節は110度に開いて座る
(2)骨盤をまっすぐ立てる
(3)頭は座骨の上
(4)上半身は中央にのせる
(5)足は床につける

「これらを日ごろから意識して行うことが大切。そうすることで、立っているときと同じように、骨盤が立って腰椎がその上にまっすぐにのるため、体の負担が小さくなります」(中村医師)

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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