座り方が悪いと首や肩、腰に負担がかかるため、コリや痛みが生じる。悩まされている人も多いのではないだろうか。しかし、悪影響はそれだけではない。
【図を見る】あなたの座り方は大丈夫?「へそ折れ・あご出し座り」はこちら
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近年、スマートフォンの普及で顕著に増えてきたのが「へそ折れ・あご出し座り」だ。
実は、頭が前に1度傾くごとに首や肩への負担は1ポンド(約0.45キロ)ずつ大きくなる。例えば60度傾くと首に27キロもの負荷がかかることになる。人間の頭は5キロ前後ある。つまり合計30キロ超の重りをのせているのと同じことになる。こうして大きな負荷が肩や首にかかり筋肉が緊張してしまい、肩や首のコリや痛みが生じてしまう。
悪い座り方は、精神状態にも悪影響を与える。
整形外科医で『医師が教えるゼロポジ座り 疲れない、太らない、老けない』(講談社)の著書もある中村格子医師はこう説明する。
「背中を丸めたりした姿勢で座っていると、胸が圧迫されているので横隔膜の動きが悪くなります。その結果、副交感神経が刺激されず交感神経が優位になって自律神経に不調が出て、イライラしやすくなる。しかも内臓が圧迫されることで、消化不良や胃もたれ、逆流性食道炎、便秘などといった内臓のトラブルが起きやすくなる。脳の血流も悪くなり、集中力の低下も招きます」
見た目のデメリットもある。椅子にもたれかかって、あごを突き出して座っているとだらしなく見え、実年齢以上に老けた印象を与える。またあごを突き出した姿勢が続くと、口元にある口角下制筋が引っ張られて口角が下がるため、ほうれい線が目立ち老け顔にもなりかねない。
「さらには、体に痛みや疲れも出るので、気分が落ち込みがちになって、表情も暗くなってしまいます」(中村医師)
(編集部・野村昌二)
※AERA 2019年4月8日号より抜粋