リアス線は岩手県の三陸海岸を縦貫し、久慈(久慈市)~盛(さかり=大船渡市)間、163キロを結ぶ。もともとは運営が第三セクターの三陸鉄道(通称「三鉄」。本社・岩手県宮古市)の北リアス線(久慈~宮古)、南リアス線(釜石~盛)と、その間をつなぐJR山田線(宮古~釜石)に分かれていた。山田線は11年の東日本大震災で被災し、鉄路が途切れていた。この区間の運営を三鉄が引き継ぎ、南北とひとつにすることでリアス線になるのだ。開通は3月23日。
「鉄道の再開は沿線にとって大きな希望であり、復興のシンボルにもなる」(鉄道ジャーナリストの松本典久さん)
山田線は全国でも有数の赤字路線だった。JR東日本は当初、自治体側に運行コストが低いBRT(バス高速輸送システム)への転換を提案していた。だが、「鉄路を残す」という地元の熱意と、全国の三鉄ファンの支持で廃線の流れを食い止めた。とはいえ、震災後に沿線の住民は減り、三陸沿岸道路の整備などもあって三鉄の経営は決して順風満帆でなく、課題は多い。
三鉄の中村一郎社長は、リアス線の役割についてこう話した。
「地域の自立や持続的な発展に向けた取り組みはこれから正念場を迎える。その中で、観光を含め交流人口の拡大は大きな課題の一つであり、リアス線開通はその課題を乗り越えていくための一つの契機としたい」
今年のダイヤ改正も、悲喜こもごものドラマを巻き起こした。(編集部・野村昌二)
※AERA 2019年3月18日号より抜粋