先週行われたフィギュア世界選手権。男子シングルの宇野昌磨は、いろんな意味で「主役」となった。注目されたのは、連覇を達成した成績だけでなく、会見でさらりと交際相手への感謝を口にする姿だった。
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ショートプログラムを終えて1位に立ったのは、宇野昌磨。続く2位がマリニン(米国)。3位は韓国のチャ・ジュンファンだった。
勝負のフリープログラムを振り返ろう。
宇野の直前に滑ったマリニン。大技4回転アクセルに挑んだ。成功こそしたものの、さほどGOE(出来栄え点)をのばせない。ジャンプの小さなミスが響き、総合順位は、その時点で2位。表示された得点を見て、笑顔を見せたものの、演技後はちょっと残念そうな表情でもあった。全てのジャンプを決めれば高得点が狙えた難易度の高い構成でもあったからだ。
最終滑走の宇野の滑りは、マリニンと対照的ともいえる柔らかい着氷とのびやかなスケーティングで、演技構成点はマリニン(80.98点)よりはるかに高得点の93.38点をたたき出した。
ショートに続き、フリーでも1位。
宇野の一人勝ちだった。
総合得点301.14。300点超えは宇野だけだった。
◆「僕を超えて」とステファン
心配されていた右足首周辺の故障について、実は先週に練習で傷めていたことを、演技後の会見で明かしたのは、コーチであるステファン・ランビエルだ。
「ここ2週間ほどは昌磨にとっては(ケガもあり)チャレンジングだった。厳しい調整だった。でも大事なのはパフォーマンスすること。回復傾向にあったので体は心配していなかったが、どちらかというとメンタルの方で、どの程度揺さぶられているところが一つの課題だった。しかし彼にはすごい経験があるので、私自身は全然心配していなかった。彼のスィッチが『オン』に入れば、痛くても練習がひどくても必ず計画通りにやってくれるので。
(試合前)昌磨には練習でやりすぎないように体の調整を心がけるようにと指示しました。練習はいいものではなかったけれど、大切なのは冷静でいること。普段通りに行かなかったとしても自分の自信が勝るということが大事だと思います。2005年と2006年に僕は2連覇しているけれど、昌磨もこの2連覇を今回達成したので、さらに僕を超えてほしい」