米軍は政治の決定に基づいて動く組織だ。信頼と協力に基づく議論が、政治にとっても、政治によって動かされる組織(米軍)にとっても「重要な基本点」との認識が玉城知事にはある。

「沖縄県が求めているのは現実的な、人と人による安全保障の確立です。翁長雄志前知事もおっしゃっていましたが、沖縄をアジアや世界の平和の緩衝地帯にしたいという気持ちが私にも強くあります。これは、『万国津梁』という沖縄古来の言葉にも連なる、琉球の祖先から受け継いできた価値観を相互に信頼し合える未来へつなぐ設計図でもあるでしょう」

 玉城知事のスーツの襟元には、カラフルな丸いバッジがある。京都市内の障害者就労施設で手作りされているSDGsのバッジだ。

 玉城知事は、15年の国連サミットで採択された、持続可能な世界を実現するための30年までの国際目標であるSDGsと沖縄の将来像を重ねてこう言う。

「SDGsの目標は、これからの沖縄の将来の目標と重ねていくことができると確信しています。3年後には沖縄版SDGsの方向性を明確にしたいですね」

 沖縄版SDGsの策定に向け、ことし4月から全庁的な取り組みを始める計画だという。玉城知事の視線は、普遍的な民主主義の尊厳の在り方と重ねるように、沖縄の未来へと注がれている。(AERA編集部・渡辺豪)

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