
雑誌「GO OUT」で連載中のスタイリスト岡部文彦さんと、アウトドア家具メーカーのペレグリン・ファニチャーを運営するカメラマンの見城了さん、そしてキャンプ初心者の筆者による「冬キャンプ」体験。寒さ対策に必要な道具や知識を学ぶ。
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バランゲルドームはドーム形で広々しているが、うっかり煙突に触って火傷しないよう気をつけないといけない。
「化繊は一瞬で溶けるので、服装は綿やウール、革などの自然素材がいい。僕はフリースよりセーター派です」(岡部さん)
17時。ストーブに火をつけて、夕ごはんの準備開始。テント内の温度は17度。ダウンジャケットを着ていると暑いぐらいだ。
岡部流は、プラスチックやビニールもなるべく避ける。食器もホーロー製や木の器だ。
「プラスチックは味気ないですよね。木はぬくもりがあるから好き。でもなにも原理主義みたいにする必要はなくて、合理化できるところは合理化しちゃう。変にこだわりすぎるのはナンセンスだし、ハイテクものの便利さも認めながら、うまくミックスして取り入れて楽しんだらいいと思います。この鍋も、出汁から取るわけじゃなく、鍋の素を使います(笑)」
完成した鍋を食べながら、スマホで音楽をかける。夏の混み合ったキャンプ場では、隣の会話がまる聞こえということもあるが、この日、視界にキャンパーはゼロ。多少大きい音でも周りを気にする必要がないのも、この季節のキャンプの醍醐味だ。
鍋を食べ終えてからも、ストーブに薪をくべながら、あまった豆腐を焼いてネギをのせたり、焼きリンゴを作ったりと即興の料理が次々と繰り出される。「うわ、これめちゃくちゃうまい!食べて食べて!」とワイワイしているうち、ほぼ初対面だった二人とも、一気に距離が近くなる。人と人とを近づける、これもキャンプの魔力だ。
ぬくぬくの薪ストーブのおかげでビールも進み、すっかりできあがってきたが、忘れてはいけないのが冬キャンプのもう一つのお楽しみ。
テントから出てみれば、そこには満天の星。ブランケットにくるまって、しばし眺める。