日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「日本のマスクルール緩和から3週間たったいまの疑問」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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日本における新型コロナウイルスの感染対策としてのマスク着用が「 個人の判断に委ねられる」ことになってから、はや3週間が経過しました。着用ルールが緩和された週末に実施された世論調査によると、7割近い人は依然としてマスクを着用し続けていると回答したといいます。
厚生労働省によると「医療機関を受診する時や高齢者施設に訪問する時、混雑した電車やバスに乗車する時は、重症化リスクの高い方への感染を防ぐためにマスクの着用を推奨します。また流行期に重症化リスクの高い方が混雑した場所に行く際は、感染から自身を守るための対策としてマスクの着用が効果的であることから、マスクの着用を推奨します。しかしながら、個人の主体的な選択を尊重し、「マスクの着用は基本的に個人で判断してください」となっています。
日本に数年間滞在歴があり、現在は米国に在住している友人は、日本各地で例年よりも早く桜の開花や満開を迎えているという昨今のニュースを見て「まだマスクをしている人が映っているよ。でも、そうなるだろうと思っていたよ」と言います。
サンディエゴに長期滞在中の私も、同じような花見に関する報道を拝見し、マスクをまだ着けている人が結構いることが気にかかりました。「花見場所は屋外ではあるもののとても混雑していることから、マスク着用が感染対策として効果的である」と判断したというよりは、「マスクをしていないと、(なんでマスクを着けていないんだよという)周囲の視線が気になるから」や「マスクをつけている人がいるから、まだ念の為、マスクをしておいた方がいいだろう」といった考えからなのだろう、と容易に想像できたことから、妙に納得することもできたのでした。