それよりも、忙しくて会社を出るのが24時過ぎになった日に、徒歩で帰宅できることの方が大きなメリットだと感じている。都心なので人が多く、街にスピード感がある。情報量も多いので、それが人事で人を見る「経験値」にもなると考えている。

 この女性が住む「ククリ」というシリーズの狭小アパートは、都内で70棟が供給されており、入居率は99%を超えているという。同シリーズを手掛ける「スピリタス」広報の木本理恵さんは、人気の秘訣(ひけつ)をこう語る。

「通常の3寸柱ではなく4寸柱を使用して、ロフトの高さを最大にしたり、採光できる窓の位置を工夫したり、ミリ単位で快適さを追求しています。ククリとはギリシャ語で『まゆ』という意味。名前には、まゆから大きく成長して羽ばたいてほしいという願いが込められています」

 都会の「3畳暮らし」は、夢見る若者たちの新しい生活スタイルになっている。(編集部・作田裕史)

AERA 2019年2月4日号より抜粋

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