立憲民主党の西村智奈美・元厚生労働副大臣は2歳2カ月の男児がいる。国会中は毎週月曜日に地元から子どもと共に上京する。国会内の保育園には応募したものの落ち、港区内の保育園に通う。
政治家は昼夜を問わず、さまざまな会合などに顔を出さねばならないことの多い職業だ。ふだんはベビーシッターを利用しているが、手配ができなくて会合に連れていったこともある。
「直接間接に、子どもがかわいそうとか、子どもをダシに使っているとか批判されたことは、もちろんあります。でも他にどうしようもなくて。だったら会合に行かずに家で子どもといたほうがいいのか、っていうことになる。その場その場で常に選択を迫られ、天秤にかけている」
だから子連れ出勤も「そうしなきゃいけない、というのだとおかしいけれど、選択の幅が広がるのはいい」と語る。
筆者はかつて、企業内保育所のさきがけだった東京・丸の内の日本郵船内の保育所を取材したことがある。2002年、今から15年以上も前のことだ。
正直言って、今ごろ子連れ出勤が政策メニューとして上がってくるのかと感じる。女性活躍、と言っているわりに、いまだに保育所の整備も追いつかず、なのに子連れ出勤とか言われても……と。深刻な少子化の状況に比べて、あまりにも政府の取り組みは遅すぎる。いつまでも母親が「常に選択を迫られ、天秤にかけている」状況を変えてほしい。一刻も早く。(朝日新聞編集委員・秋山訓子)
※AERA 2019年2月4日号