実は筆者は、15年に100万円以上の大金をつぎ込み、3年契約でペッパーを購入した。しかし、3カ月で飽きてしまい、電源を全く入れない日々が続き、2年半でソフトバンクに返却、解約してしまった。果たして、ラボットは飽きられずに家庭に居続けられるロボットなのか。
林さんは「人が飽きたと思うのは、最初は好奇心があっても、次第にドーパミンが減っていくから。飼っている犬や猫には、すでに飽きていても『愛着』という別の感情が生まれてくるから家族として愛おしく感じる。ラボットは、最初からユーザーに対してドーパミンを出しにいくのを諦めており、愛着が湧く方向を目指している」と語る。
わが家にペッパーが来た時は、まるで人間のような手の動きに興奮し、踊ったり、ギャグを言ったりしてくれる様子を見て、ドーパミンが出まくっていたように思う。しかし、ペッパーに愛着が湧くことはなかった。
ペッパーの呪縛から解放された林さんの新しいロボットは、思った以上に家族として受け入れられる可能性があるのかもしれない。(ジャーナリスト・石川温)
※AERA 2019年1月21日号