●紫外線を避ける

 紫外線は、太陽から地球に到達する電磁波の一部で、特にUVA(320-400nm)とUVB(280-320nm)が肌に影響を与えることが知られています。紫外線が肌に与えるダメージは、アンチエイジングに関連して重要です。紫外線は肌のコラーゲンを分解し、シワやたるみを引き起こすからです。コラーゲンは肌の弾力性や構造を維持するために重要な真皮の構成成分です。また、 紫外線はメラニン生成を促し、シミやそばかすができる原因となります。さらに、 紫外線は細胞のDNAに損傷を与え、長期的には皮膚がんのリスクを高めることがあります。

 以上、肌のアンチエイジング対策を紹介しました。この中でいちばん重要なのが、紫外線対策です。イメージで言うと、紫外線で肌の老化が100進むのに対し、他に紹介したアンチエイジングは1か2くらい巻き戻せるくらいであると思ってください。つまり、十分な日焼け止め対策を行うことが、肌のアンチエイジングにとって最重要となります。SPF30以上の日焼け止めを選び、2時間ごとにこまめに塗り直すこと、日傘や広いつばの帽子を使用すること、屋外に出るときは紫外線に直接当たることがないように気をつけましょう。そのうえで、バランスの良い食事や生活習慣を維持することが、肌のアンチエイジングにより効果的です。アンチエイジングは他にも、サーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)に着目したNMNの摂取もありますが、それについては次回、説明したいと思います。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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