村上世彰(むらかみ・よしあき)/1959年、大阪府生まれ。83年、通商産業省(現・経済産業省)に入り、コーポレートガバナンス(企業統治)の普及に取り組む。現在はシンガポール在住。著書に『生涯投資家』など(撮影/写真部・小原雄輝)
村上世彰(むらかみ・よしあき)/1959年、大阪府生まれ。83年、通商産業省(現・経済産業省)に入り、コーポレートガバナンス(企業統治)の普及に取り組む。現在はシンガポール在住。著書に『生涯投資家』など(撮影/写真部・小原雄輝)
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『いま君に伝えたいお金の話』は、お金が増えるメカニズムをだれよりも理解している、お金のプロだという自負を持つ著者、投資家の村上世彰さんが子ども向けに、お金とその流れを解説した一冊だ。同著に込めた思いを、村上さんに聞く。

*  *  *

 お金儲けは悪いことですか。

 投資家の村上世彰さんといえば、この言葉が真っ先に思い浮かぶだろう。本人も苦笑しつつ、うなずく。

  1999年の「村上ファンド」設立から7年ほどの間に、2千億円集めて2千億円の利益をあげた。しかしファンドの運用実績がよくなるにつれて、運営する村上さんへの風当たりは強くなっていった。

 新著『いま君に伝えたいお金の話』では、こう書く。

<残念ながら、日本では「お金=汚いもの」「お金=悪いもの」という感覚が広く根づいています>

 いまも昔もめざすのは「日本の復活」だという。<お金が日本の社会でぐるぐるめぐり、みんなが生き生きと働き、元気いっぱいの日本>だ。バブル崩壊で活力を失った日本という体にお金という血液をまわして健康を取り戻す。これをミッションと定めたが、企業が壁となった。利益を投資や給与引き上げに充てず、ため込むばかり。血流が滞ったわけだ。この姿勢を、官僚として携わった法制度によって、次に投資家すなわち「物言う株主」として、変えようとした。

「そのうちに、企業が変わっても不十分ではないかと考えるようになりました」

 そこで本書が生まれた。中高生を中心とする子どもたちに「お金との向き合い方」を伝える。出張授業「お金の教育」も始め、全国の中学・高校をめぐっている。メッセージは「お金に色はない」。お金は商品と交換したり価値を測ったりする道具で、争いや悪事を引き起こしても、

「お金ではなく、行為を否定しなければなりません」

 要は使い方次第。自分の生活に、趣味などの楽しみに、お金は不可欠だ。それには、<お金は稼いで貯(た)めて、回して増やす。増えたらまた回す>。つまり働いて貯金して、それを卵に投資を繰り返す。

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