スーパーフードや野菜をふんだんに使い美容と健康にいいと注目度がアップしているイスラエル料理。現地で活躍する女性シェフ2人が訪日で生んだ食のコラボレーションとは。
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イスラエル料理と聞いて、すぐに思い浮かべられる人は少ないかもしれない。まずは料理をご覧いただきたい。いずれも来日したイスラエル人シェフ、ノフ・アタムナ=イスマイールさん(37)とヒラ・アルパートさん(53)、東京・西麻布のビストロ「HOUSE」の谷祐二シェフ(44)が互いにアイデアを出し合い、完成させたものだ。
子牛のタルタルにたっぷりの野菜とナッツ、食べられる花が盛られた鮮やかな皿は、ノフさんの作。スパイシーだが辛さが際立つわけではなく、ザクロの酸味も利いたスッキリした味わいがある。
ヒラさんは新鮮なハタの刺し身を「ザータル」というスパイスソースで和えた。ピリッとしたソースと魚の相性が抜群だ。
そして「柿とフリーカ、ザクロ、スマックのタブレとアーモンドタルト」は谷シェフの一皿。フリーカとは小麦を青いうちに収穫しローストしたもので、プチプチした食感と高い栄養価が特徴。近年はスーパーフードとして注目されている。スマックは赤紫色の香辛料。中世では消化器系の治療にも用いられたという。なめてみると酸っぱさがあり、梅干しによく似ている。
「イスラエルは建国70年の若い国。さまざまなルーツを持つ人々が集まり、料理もミックスされています。若さゆえ、活発で明るく、カラフルなことが特徴ですね」
と、ヒラさんは話す。ユダヤ系をルーツに持ち、父方のアメリカ料理、母方のモロッコ料理、近隣のアラブの村の地中海料理から影響を受けてきたイスラエルで最も知名度の高いシェフの一人だ。
いっぽうのノフさんは海洋微生物学の博士号を持つ異色シェフ。アラブ系(イスラム系)出身で、4年前に料理で和平に貢献しようとシェフに転向した。
「私のルーツにはアラブ料理特有の強さやダイナミックさがあります。今回はそれを少しトーンダウンして、日本食の繊細さとうまくコンビネーションできたと思う」