しかし、クイズプレーヤーたちがひのき舞台に立てる場がなくなったわけではありません。1990年代には関東・関西それぞれで大学のサークルや個人が主催者となる「オープン大会」が次々にスタート。テレビから離れた場所で独自の進化を遂げていくことになり、「テレビ出演」や「一獲千金」を目標とせず、純粋にクイズを極めたいというプレーヤーも目立ち始めました。
最多で800人以上の参加者を集めた日本最大級の学生クイズ大会「abc」から、数十人規模の小さな大会まで、オープン大会はより細分化して多彩に。現在は土日祝日にはどこかで必ず何らかのオープン大会が開かれていると言っても過言ではないでしょう。
さて、話をクイズ番組に戻すと、2000年に視聴者参加型の「クイズ$ミリオネア」と「タイムショック21」がスタート。どちらも最高1000万円という高額賞金が売り物でもあり、テレビから離れた場所で力を蓄えてきた猛者たちの努力が報われる場にもなりました。ただ、視聴率が振るわなかったこともあり、これらの番組は「視聴者参加型」としては長続きせず、徐々に「芸能人出演型」へとかじを切っていくことになります。
そんな中、2002年には「クイズ!ヘキサゴン」が放送開始。2005年に「クイズ!ヘキサゴンII」に移行した後は、いわゆる“おバカ”タレントが注目を集めるようになりました。
また、2003年には5人1組で挑戦する「ネプリーグ」、2007年には「クイズプレゼンバラエティー Qさま!!」の「プレッシャーSTUDY」が始まり、両番組は現在も続いています。
もはや一般視聴者参加型のクイズ番組は成立しないのか?とも思われましたが、2008年にエポックメイキングな出来事がありました。老舗番組「高校生クイズ」が突然「知力の甲子園」に路線を変更したのです。そこでは、無名ながら圧倒的な頭脳と知識量を誇る高校生たちが、数々の難問に苦もなく答えていく姿が話題となりました。
この「知力の甲子園」は5年間で幕を閉じましたが、「THEクイズ神」のように広く門戸を開いた視聴者参加型のクイズ王番組も誕生。2011年には「頭脳王」がスタートし、2015年に始まった「Qさま!!」の「螺旋(らせん)階段」形式にも一般人のクイズ王が出場しました。