映画化で、伝説の歌手フレディ・マーキュリーが注目されている。来日時のボディーガードは、ほかにもマイケル・ジャクソン、マドンナなどの警護にもあたった。彼らのオフタイムを明かす。
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後にも先にも、ここまで買い物に熱中した人はいなかった。
「ギャラがふっとぶのではないかと思うほど、骨董品や美術品を買い求めていました」
ロックバンド・クイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーの身辺警護を受け持った東京パトロール代表の伊丹久夫さん(72)が当時を振り返る。
現在公開されているクイーンの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」で、大スターだったフレディの素顔に注目が集まっている。伊丹さんは1975~85年の来日公演6回と86年のお忍び来日の警備を務めた。
フレディは日本や武道が好きで、伊丹さんが剣道の経験者と知って尊敬したようだ。互いの誕生日が1週間しか違わないこともあって、初めこそ口もきかなかったが、だんだん打ち解けるようになった。初来日ではロングヘアだったものの短髪にひげのスタイルに変わったのは、伊丹さんの影響だという。
陶器や浮世絵、着物などを吟味する旅にも、ときには京都までじっくりつき合った。待機中の伊丹さんを食事の席に誘って、「警備のお礼に」と高級時計や日本刀をプレゼントしてくれるなど、気配りを忘れない。直筆のクリスマスカードは今も宝物だ。「私情をはさんではいけない」がボディーガードの鉄則だが、フレディには違った。
「海外アーティストを警備したなかで、心の距離がもっとも近かった」
伊丹さんがこの仕事に就いたきっかけは大学生のとき、バイトでビートルズのコンサートの警備をしたことだ。失神するファンを場外に運び出しながら、「音楽はこれほど人を狂わせるのか」と衝撃を受けた。
その後、サミー・デービス・ジュニア、ベイ・シティ・ローラーズ、フランク・シナトラ、アラン・ドロンなど伝説の海外タレントを次々と担当した。
彼らだけではない。マイケル・ジャクソンはツアーの合間にテーマパーク巡り。高所恐怖症だった伊丹さんも観覧車やジェットコースターに乗せられた。