AERAで連載中の「いま観るシネマ」では、毎週、数多く公開されている映画の中から、いま観ておくべき作品の舞台裏を監督や演者に直接インタビューして紹介。「もう1本 おすすめDVD」では、あわせて観て欲しい1本をセレクトしています。
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■いま観るシネマ
「『生きてるだけで、ほんと疲れる』──名言ですよね。よくぞ言ってくれた!って」
コミカルな活劇から文学作品まで、さまざまな顔を見せる俳優・菅田将暉(25)。
最新作「生きてるだけで、愛。」は、芥川賞作家・本谷有希子の同名小説の映画化だ。メンタルに問題を抱えバイトにも行かず寝てばかり、というヒロイン・寧子(やすこ)に寄り添う恋人・津奈木を演じている。
「なぜ生きてるだけで疲れるかっていえば、人間は『生きてるだけ』で生きられないからですよね。食事と水さえあれば生きられるけど、現実にはお風呂に入らないと嫌われるし、いろんな欲も出てくる。津奈木は一見なんの問題もない人間に思えるけど、仕事も自分がやりたかったことかといえば違う。生きていこうとすればいけるけど、それでは満足できない。だから生きていくのは大変で、しんどいんだなあと思うんです」
感情のアップダウンが激しい寧子は決して愛すべきキャラではない。だがどんなに罵声を浴びせられても津奈木はなぜか寧子のそばにいてやる。
「きっと津奈木にとって人間性とかではない部分で『美しいな』と思えたのが寧子だったんでしょうね。だから振り回されても、やっぱりどこかでその美しさをもう一度感じることを期待して、一緒にいたのかなと思う。でもカップルってそんなものじゃないですか? 『なんでこいつと一緒にいるんだろう』と思いながら、お互いに依存してる。こういう二人ってけっこう世の中にいるんじゃないかな」
寧子役の趣里とは初共演。「一緒にいて落ち着きました。趣里ちゃんってまず声がいい。身体のしなやかさ、いまにも消えそうな感じ。寧子は彼女にしかできない」