仕事歴だけは長いが、しがないライター。私なんかでは、おむずかしいんでしょう?
「大学教員に資格制度はありません。2019年から制度化される専門職大学では、あらゆる領域の実務家教員が必要とされますし、一定の実務経験がある社会人であれば、誰でも可能性はゼロではないですよ」
そう励ましてくれたのは、学校法人・先端教育機構が運営する研修プログラム「実務家教員養成課程」の川山竜二准教授。何の話かって、実社会の企業などで働いてきたキャリアを生かして大学などで教える「実務家教員」のことだ。
これまで大学の教員になろうとすると、大学卒業後、大学院で修士、博士の階段を上り、助教からキャリアをスタートさせるのが王道のパターンだった。ところが経験から、実践的知識を学生たちに教えられる「実務家教員」も広く求められるようになり、ビジネスパーソンの第二のキャリアとしても注目を集めている。
山形県立米沢女子短期大学で講師を務める後藤和也さん(38)も、東北地方の団体職員から、大学教員への転身を果たした。職員時代は人事畑を歩き、研修などで自ら講師を務めるうち、人に教えることのやりがいを感じるように。社会人になって10年を迎えたころ、実務家教員への転職を考えるようになった。
「実務家教員の公募情報をチェックするうち、修士の学位と多くの論文が、採用に有利とわかった。通信制の大学院に入り、人事の仕事に関する論文をできるだけたくさん書いて、アカデミックな実績を積み重ねていきました」(後藤さん)
そうした準備と同時に、多くの大学にも応募を重ねた。やがて通えるエリアの同大学の「キャリア教育」教員公募に応募して、この4月、採用に。
「大きな組織では、人事の成果はわかりにくいことも多かった。一方大学では、学生の成長が目に見えて、早くもやりがいを感じています」(同)
収入は、職員時代と比べて「多少増えた」程度。それより、自由に時間を使える「裁量労働制」を魅力に感じている。