「不動産会社から示された買い取り価格に納得できないので、周辺の不動産会社で聞いたところ、もう少し高く売れそうなことが分かりました。それを材料に交渉して、少しだけですが、買い取り価格を上げてもらいました。実際には、1カ月で買い手が見つかったので、買い取りのお世話にはならなかったのですが」

 住宅ローンも重要なポイント。すでに返済が終わっているのなら問題はないが、残っている場合には、売却代金で一括返済できるのかどうかを確認しておこう。

 中には元の家を売却せず、住宅ローンを残したまま賃貸に回して家賃収入を得ようと考える人もいるようだが、それはやめたほうがいい。ファイナンシャルプランナーで信共社長の中村諭さんはこう話す。

「自己居住用として住宅ローンを組んでいるのですから、それを賃貸運用に回すのは契約違反になります。万一発覚した場合には即刻優遇金利が適用されなくなり、店頭表示金利になってしまうこともあります。二重ローンになっても賃料収入が入るから大丈夫と思うかもしれませんが、返済額は重くなります、空室や滞納が発生するとたいへんなことになります。ローン返済が滞ると、最悪、一括返済を迫られることもあり得ます」

 そんな事態に陥らないように、ローンはできる限り売却代金で一括返済しよう。(住宅ジャーナリスト・山下和之)

AERA 2018年10月22日号より抜粋

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