内閣改造で、憲法改正を目指す団体「日本会議」があらためて存在感を示した。安倍政権も改憲に向けて万全のシフトを敷いたが、「失言リスク内閣」との評価も聞かれる。
* * *
2000年6月、千葉県我孫子市では衆議院選挙の投票を前に、各政党候補者の政策を聞くミニ集会が開かれていた。その日は自民党候補者の演説を聞こうと、支持政党を持たない20人ほどの市民が集っていた。
自民党の候補者は少年法の改正案について熱っぽく語った。候補者の話が20分ほど続いた後、同市に住む会社役員の男性がこう質問した。
「子どもたちが荒れるのは、大人社会のほうにも問題があるのではないでしょうか?」
突っかかるような言い方ではなかったというが、自民党候補者は一変。顔を紅潮させ、大声で話し始めた。
「あんたみたいなサヨク的人間がこの国を駄目にしたんだ。従軍慰安婦だとかありもしないことを言い続けて、この国の誇りを踏みにじってきたんだ」
この候補者こそが、10月2日に発足した第4次安倍改造内閣で五輪担当相に起用された桜田義孝衆院議員(68)である。
本誌の取材に対して桜田事務所は「そのような発言をした認識はありません」と回答するが、先出の男性はこう語る。