純平のヒリヒリした疾走感、刹那に身を投じる姿勢のリアル。まさに野村にしかできない適役だった。

◎「純平、考え直せ」
チンピラと元OLが限られた3日間を生きる青春娯楽作。監督:森岡利行 出演:野村周平、柳ゆり菜ほか。9月22日から新宿シネマカリテほか全国順次公開

■もう1本 おすすめDVD「ちはやふる−上の句−/−下の句−」
 出演作が続く野村だが、「ちはやふる」シリーズも彼らしさが出ていて周平ファンにはおすすめだ。競技かるたに青春を懸ける高校生たちの物語だが、幼なじみの千早(広瀬すず)、太一(野村)、新(真剣佑)の恋模様も絡み合う。太一の、千早を新に取られたくないという焦り、千早に対する熱く切ないまなざしに、青春時代が遠い昔となった今も、昔の記憶を呼び覚まされて胸が痛くなる。

 そもそも女1人に「イケメン」2人の三角関係は、恋物語の王道パターン。「どっちを選ぶ?」的要素はいくつになっても楽しめる(多分)。

 もう1本、「純平、考え直せ」で純平の母親を演じている片岡礼子を見ながら、どうしても紹介したいと思った作品がヒットマン映画の傑作「鬼火」(望月六郎監督)だ。

 片岡がヒロインを演じ、原田芳雄が孤高のヒットマンを演じたハードボイルド。痺れる。残念ながら、こちらは現在販売されていないそうなので、機会があればぜひレンタルで。

◎「ちはやふる−上の句−/−下の句−」
発売・販売元:東宝
価格各3500円+税/発売中

(フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2018年10月1日号

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