個人や企業が共同で使う「シェアオフィス」が増えている。大手、ベンチャー、フリーランスなど様々な利用者がともに働く。会社も国境も超えたつながりを持てることが人気の理由だ。
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4月、東京・銀座の商業施設「GINZA SIX」の一角にオープンした「WeWork(ウィーワーク)ギンザシックス」。大きな窓からたっぷりと光が入り、銀座の街並みを見下ろせる。WeWorkは米国発のサービスで、ネット回線や事務機器を備えた快適なオフィス空間を、利用者が共有する。利用者は世界で25万人以上、国内には6カ所あり数千人が利用する。
個室タイプのプライベートオフィスは人気でほぼ空きがない状態になることも。総合商社の丸紅は、5月に1室を契約。デジタル技術を使った新事業の展開を目指すデジタル・イノベーション部が主に使っている。マネージャーの早坂和樹さん(37)によると、同じオフィスを使う他の利用者から刺激をもらい、新しい発想を生み出す機会を作ることが狙いという。
「利用者同士は自然と会話が生まれます。偶発的な出会いが、今後具体的なビジネスにつながることを期待します」
社内で映像関係の新規提案があった際、詳しそうな他の利用者に尋ねたところ、気軽に教えてもらえたこともあった。
丸紅は月1回、コミュニティースペースでイベントも開く。8月は、普段本社で働く人ら社内外の約100人が訪れた。
「WeWorkで働く他社の人たちも参加できるので、社内外の交流が生まれます。形式的な名刺交換からでない、自然で深いつながりを作っていきたいです」(早坂さん)
WeWorkの会員になると、専用のSNSアプリを使うことができる。フェイスブックのように世界中の会員間で情報の発信や収集ができ、個人でメッセージも送りあえる。インフラ大手の関連会社代表を務める50代の男性は言う。
「名刺交換よりSNSでつながったほうが、相手とメッセージのやり取りが簡単に早くできるので便利です」