ヒップホップ・アクティビストのZeebraさんが「AERA」で連載する「多彩な野菜」をお届けします。1997年のソロデビューからトップとしてシーンを牽引し続け、ジャンルや世代を超えて多くの支持を得ているZeebraさん。旬の野菜を切り口に、友人や家族との交流、音楽作りなど様々なエピソードを語ります。
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枝豆は子どものころから好きです。夏の夕方、食卓におかずが並ぶ前に母が「これでも食べて待ってなさい」って。さやが含んだ水気がちょっと青臭くてしょっぱくて。ああ夏の味だなあ、と脳裏に焼きついています。肉をやめてからはさらに好きです。体がたんぱく質を求めるという面もあるのだと思います。
いまは妻がよく出してくれます。娘たちも好きなので、夕食前になんとなくテレビを見ながら、一緒に食べます。高校生と中学生にもなると一家団欒という機会もあまり多くないので、家族にとって貴重な時間ですね。
大人にとって枝豆が酒のつまみにいいのは、食べるのにワンアクション必要だからなんじゃないかな。口元でぐっとさやを押す。どういうわけか反対側から出ちゃうこともある。直接口に放り込めるより、一つ二つ作業があったほうが、お酒との「間」が生まれるような気がします。茹でたてに塩を振る、塩加減で悩むのも楽しい。あらかじめむいたやつも食べますが、人間ってどれだけ楽をしたいんだろうって思ってしまいます。
※AERA 2018年9月3日号