あの感じを、別の現場でも体感したい。その瞬間、その瞬間に自由に動いて、今回の京極という役も演じられればいいなと思います。ただ、それだけだと、自分のやりたいことばかりになっちゃうので、バランスが難しいです。

──今回の現場はどうですか?

田中:まだ共演者との距離を縮める作業に徹していますね。

──距離を縮めるのは得意?

田中:いやあ、難しいですねー! 僕、どんな関係性の役柄であれ、お芝居をする上で仲が良くて困ることはないと思っているんですが「あんまり俺が距離詰めてもスベるだろうな」「ここは俺が行かないと」「ここはみんなに合わせよう」とか考えてしまいます。自分のいいところでもあり、悪いところでもあります。

(ぼそっと)……空気、読みすぎてしまうんです。子どものころから。昔よりは自分を出せるようになりましたが、言いたいことを言わないこともあります。

──役者としては、空気を読まない人に憧れる?

田中:一時期は憧れてました。たまに、やたら自信を持っている人いますよね? 逆にいいなって。

(ライター・市岡ひかり

AERA 2018年8月6日号より抜粋