留学先として人気が高い米ハーバード大学。学費や寮費を含めると年間7万5千ドル(約830万円)が必要という (c)朝日新聞社
留学先として人気が高い米ハーバード大学。学費や寮費を含めると年間7万5千ドル(約830万円)が必要という (c)朝日新聞社
海外の大学に強い私立中高一貫校(AERA 2018年7月16日号より)
海外の大学に強い私立中高一貫校(AERA 2018年7月16日号より)

「内向き」と言われて久しい日本の若者。大学入試改革でその姿が変わるかもしれない。独自のノウハウで多くの海外大学合格者を出す私立中高一貫校に注目が集まりつつある。

【図表】海外の大学に強い私立中高一貫校はこちら

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 2020年度の大学入試改革で試験内容が大きく変わる英語。これまでのセンター試験では、「読む」「聞く」の能力が評価されるだけだったが、ここに「書く」「話す」を加えた4能力が試されるようになる。今年3月には大学入試センターが、TOEIC、TOEFL、IELTSなど8種のテストを、新たに始まる「大学入学共通テスト」で受験可能な民間試験として認定した。

 この入試改革で変化しそうなのが、日本の若者の「内向き傾向」だ。「日本人は海外に出たがらない」と海外メディアから指摘されたのは2010年前後。調査のやり方によって多少結果は違うが、ほとんどの調査で今も、日本人の留学者数は減少か横ばいが続いている。欧米の大学の出願にも使えることが多いTOEFLやIELTSの勉強をする人が増えれば、日本人の海外留学熱が再び高まる可能性は十分にある。

 そこで注目が集まるのが、海外大学への合格率が高い中高一貫校だ。表は、受験情報誌「進学レーダー」(みくに出版)が調査した、海外大学合格者が多い首都圏の主な私立中高一貫校。「東大合格者数」などのランキングとは、ひと味違う顔ぶれが並ぶ。

 これらの学校はどんな取り組みで海外大学の合格者を増やしているのか。その前に、今どきの海外大学留学について、ざっとおさらいしておこう。

「短期留学や中国などへの留学は増えていますが、アメリカ留学は減っています。やはり、理由として大きいのは、アメリカの大学は費用が高いということでしょうね」

 40年以上、留学カウンセラーを務める栄陽子さんはそう話す。例えば日本人が留学しようと思ったら、UCLAで年間5万5千ドル(授業料、寮費、食費込み)、ハーバードで年間7万5千ドル(同)が必要。奨学金なしにアメリカの大学で子どもを3年間勉強させると、家一軒ほどの負担となってしまう。

 こうしてすっかり「お金がかかるもの」として定着したアメリカ留学だが、もちろんメリットのほうも計り知れない。栄さんが考えるのはここ。

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