「“少額で手軽な社会貢献活動”として顧客からのニーズが高く、当社も社会貢献活動を重要施策と考えていました」

 預金者の声も聞いてみた。ゆうちょボランティア貯金に口座を開設している都内在住の男性によると、手軽さがポイントだという。

「少しでも社会に役立つ活動をしたいと考えたけれど、実際に自分で時間を取ってアクションを起こすのは難しかった。ボランティア貯金は寄付金が自動的に引き落とされるので、とても手軽で利用しやすいです」

 他行でも、類似の取り組みが行われている。最も社会貢献性が高そうなのが、城南信用金庫が取り扱う、東日本大震災復興支援「ボランティア預金」だ。これは1年ものの定期預金で、預金者が受け取れる利息は通常の定期預金よりやや低めに設定されているものの、預入額の0.1%が同金庫の負担で震災復興に寄付される。17年度は11億円を超える預入額があり、約112万円を被災者支援に取り組む「読売光と愛の事業団」などに寄付した。

 三菱UFJ銀行でも、普通預金の税引き後利息のうちの50%相当額を寄付する「ボランティア普通預金」を取り扱っている。集まった寄付金と同額を三菱UFJ銀行も上乗せして寄付する「マッチング・ギフト方式」をとっているのが特徴だ。

 金利収入を見込めないゼロ金利時代。預金で社会貢献するという発想はアリかもしれない。(編集部・川口穣、ライター・田茂井治)

AERA 7月9日号

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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