「それ以降ですかね。岬氏は減税を外し、名古屋や愛知県で市議選や県議選の独自の候補者を探し始めていた。名古屋駅前の会議室を借りて、東京から維新の幹部まで呼んで面接していたそうです」

 と減税、維新の幹部らが同じ内容の話をしていた。勢いに乗る維新が名古屋に切り込んできたとも見られる動きに、警戒感も広がったようだ。

 統一地方選の前半さなかの今月4日、河村市長は名古屋市中村区で、減税が擁立した市議候補の応援に入った。候補者がひとりでマイクを持っているときは素通りする通行人が多かったが、河村市長がマイクを握ると一気に反応が変わり、声をかける人、チラシを求める人でいっぱいになった。

 河村市長に聞くと、

「手ごたえはいい。現有議席の維持以上はやれるはずだが、今回維新がおるでよ、読めない。昔の郵政選挙をした小泉純一郎元首相じゃないが、市議選では維新候補に刺客を送った。そこで勝てばこちらに流れが来る」

 と語っていた。

 結果は、冒頭のように減税が圧勝だった。

 維新のある幹部は、

「改めて河村市長の人気、パワーを見せつけられた。大阪や関西と同じようにはいきませんね」

 と「白旗」をあげた。

 維新が大阪で強い要因の一つに、メディアへの露出の多さがある。

 大阪に住んでいるとわかるが、維新の府知事と市長が維新発の政策を推し進め、それが連日メディアで大きく報じられる。テレビで見ない日はない、というくらい頻繁に吉村洋文知事の“姿”を見る。他にも大阪府などのPRイベントに関西の人気芸人と吉村知事が一緒に出演もする。

 そして、この吉村知事個人の人気も大きい。ツイッターのフォロワー数約127万人は、東京都の小池百合子知事の約92万人を大きく上回る(4月20日現在)。大阪では、吉村知事の似顔絵が入ったTシャツやマグカップなどのグッズが売れ、コロナ禍では吉村知事の顔写真入りの箱に入ったマスクが即完売するなど、“アイドル的な人気”を誇る。

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