「大阪ダブル首長選」「奈良県知事選」など統一地方選での強さが目立つ維新の会。「全国政党化」に向け、今回の選挙で「全国で600議席」を目標に掲げている。この勢いは4月23日投開票の後半戦も続くのか、あるいは関西を中心とした動きにとどまるのか。大阪と同様に地域政党が強い名古屋では、大きな壁が立ちはだかったようだ。
4月9日に投開票があった名古屋市議選。河村たかし市長が率いる地域政党「減税日本」は17人を擁立し、14人が当選。選挙前の9議席から5人増やした。同日の愛知県議選では、13人の出馬で3人が当選。選挙前の2人から1増となった。
一方の維新。名古屋市議選には9人が出馬し、当選したのは新顔1人。選挙前の4人から3減に。愛知県議選には6人が出馬したが、選挙前と同様、議席獲得とはならなかった。
河村市長は選挙後の記者会見で「大勝利」と笑みを浮かべた。
今回、明暗が別れた減税と維新だが、両党は2016年、19年の過去2回の参院選で共闘するなど、つながりは強かった。
それが対決する関係になったきっかけの一つは、維新の岬麻紀衆院議員の「経歴詐称疑惑」だった。
岬氏は、19年に維新と減税の共同公認として参院選(愛知選挙区)に出馬したが落選。21年10月の衆院選に、維新単独の公認で愛知5区から立候補し、選挙区では敗れたが比例復活当選を果たした。
しかし、19年参院選の選挙公報に記載された経歴に事実と異なる内容があったことを昨年5月、AERAdot.が報じた。
これを受け、河村市長は、
「学歴が違っていたのは間違いない。有権者にお詫びしたい」
と述べ、怒りをにじませた。
維新は岬氏を厳重注意としたが、河村市長はその後も、
「経歴詐称はいかん」「議員辞職すべきですよ」
などと批判を続け、維新との間に“ひずみ”が出始めていた。
岬氏の件が明らかになってから約1カ月半後の7月の参院選では、愛知選挙区に両党で擁立した候補は落選した。